研究概要 |
風車設置予定地点を選定する場合,各地点における風力エネルギ賦存量の予測が必要である.風車を設置できる地点が丘陵・山岳地にならざるをえない我が国において,今後風力エネルギの導入を進めるには,複雑な地形において風力エネルギ賦存量を正確に予測する必要がある.本研究は複雑地形における高精度の地域風況予測システムの確立を目的としており,地形起伏,地表粗度の影響について明らかにするために,「風洞モデル」と「実在の地形モデル」の2つのモデルを用いて研究を実施し以下の成果を得た. 1. 風洞モデル 風洞の中に断面形状がベル型断面と呼ばれる2次元丘陵を設置し,乱流境界層が発達した状態において丘陵周りの流れを計測した.また3次元汎用流体シミュレーションソフトa-FLOWおよび風況予測シミュレーションソフトWASPの計算結果と風洞実験結果とを比較検討し,以下の結果を得た. (1) 粗度の影響が小さい場合,風洞実験の結果と数値シミュレーションの結果は比較的一致する. (2) 粗度の評価において寸法効果の問題が生じるため風洞実験の結果をそのまま実際の地形に適用するには問題がある. 2. 実在の地形モデル 最上川の上流に位置する山形県立川町を解析対象として取り上げ,WASPを用いて風況予測シミュレーションを行った.また立川町において行われた風況観測のデータとWASPによるシミュレーション結果を比較検討し,以下の結果を得た. (1) 地表粗度と地形起伏のデータの与え方によっては丘陵・山岳地においても精度よく予測できる. (2) 境界条件が複雑すぎて風況に影響を与えている因子を特定できない.
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