研究概要 |
水中衝撃波による生体細胞の動的変形挙動の解析を行い,これとともに損傷機構を解明することを目的とし,本年度は.数理モデルを用いて基本的な変形挙動および損傷機構を調べるために,実験系の培養液中の細胞を流体・弾性体の連成振動問題としてとらえ関数解析をもとにした数理解析を行い,数ナノ秒の圧力変化に対する細胞のマイクロバイオダイナミクスを変形の観測実験と比較することによって変形挙動の予測を行った. 具体的には以下のことに関して研究を遂行し,本年度の成果を得た. 数理モデルの構築ならびに衝撃波作用時の細胞変形挙動の解析(数値計算)衝撃波が1個ならびに2個の生体組織細胞に作用したときの細胞変形のモデルとして,水中に浮遊している内部が液体(水)で充填された弾性球殻モデルを考え,これに平面衝撃波が作用したときの流体の圧力ならびに球殻(細胞)の変形を力学的物性値が既知の細胞のものを用いて動的に解析した.また,このときに細胞間の力学的相互作用や球殻の弾性率の生体組織細胞の変形挙動に及ぼす影響を予測する.この結果を利用して,流体場の圧力やその立ち上がり時間等の細胞損傷に対するしきい値を予測した.解析を行うにあたり,細胞内骨格構造などの内部構造の変化を非線形バネによって表現し,その影響を調べた結果,骨格筋構造を伴うことによりパラメータによる違いはあるものの,変形しにくくなることがわかった.さらに,分散粒子濃度の影響を細胞間距離を考慮して解くことにより,濃度が高い場合細胞損傷が低くなるという実験結果を説明する事ができた.
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