ホログラフィ干渉計等を用いる事によって、流れ場中の温度分布や密度分布を干渉縞として捉える。この時得られる干渉画像は、対象中の温度、密度分布の積分値であるので、3次元分布を再構築する際には、同時に多方向からの画像を取得し再構築する。しかし、一般に、温度、密度計測においては、多方向からの非定常画像を得る事は困難であり、2、3方向という限られた方向からの画像を元にデータを再構築する必要がある。本研究では、情報量不足を流れ場の情報を用いることで補うとともに、AIを応用した再構築手法を構築する事を目的とし研究を行った。 本研究で採用した手法は、RBFニューラルネットワークである。この手法は、最適化手法の一つとして注目されている手法である。対象としては単純化のため、2次元密度分布を考える。なおこの手法は、容易に3次元への拡張が可能である。2次元上の密度分布画像を再構築するため、2入力1出力系のRBFネットワークを用いる。各入力空間上に三角型のメンバーシップ関数を考え、その代数積として2次元基底関数を定義する。さらに、その基底関数を結合荷重を掛け合わせて和を取ることにより、出力を定義する。この出力関数の総和を求め、実験で得られている値との二乗誤差を評価関数として考える。この結合荷重を繰り返し操作によって収束させていくことで対象とする二次元分布を再構築する。このとき、分布に対して事前情報としての分布エントロピーを考える。この分布エントロピーは、流れ場の投影画像である干渉画像の特徴を表すデータとなる。この分布エントロピーを最小化するような拘束条件を与え、この拘束条件の元で収束計算を実施する。この様にすることで、少ない干渉画像から分布を再構築することが可能となる。本研究で開発したRBFネットワークを用いる手法と従来のART等の手法とをテストファントムに適用して、本研究の結果が従来の手法に比較して、より良い再構築が可能であることを示すことが出来た。
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