研究分担者 |
谷 順二 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30006192)
折笠 精一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60001004)
江 鐘偉 山口大学, 工学部・機械工学科, 教授 (60225357)
田中 真美 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80271873)
古屋 泰文 弘前大学, 理工学部・知能機械工学科, 教授 (20133051)
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研究概要 |
尿失禁とは不随意に起こる尿漏れで,社会的衛生的に問題となるものであり,その治療法の確立が強く望まれている.しかしながら尿失禁の原因は多種多様で,患者の年齢も小児から高齢者にわたることから,その治療は画一的とならず大変困難なものとされている.約10年前に画期的な尿失禁治療法としてシリコン製人工括約筋が開発されたが,構造が複雑で高価でありさらに長期使用後には駆動液が漏れる等の問題を生じている.形状記憶合金(SMA)の中でもTi-Ni合金は優れた記憶能力を持ち,熱を加えるだけで簡単に大きな変位や大きな力を発生させることができるため,その基本的特性や応用に関して多くの優れた研究がなされている.形状記憶合金を医療分野に応用する試みは1970年代の後半から米国を中心に進められており,これまでにも医療用クリップ,歯列矯正および骨折治療用内副子,人工心臓用人工筋などへの応用が試みられ,一部はすでに医療用治具として実用化されている。 本研究は尿失禁治療法のひとつとして,形状記憶合金をアクチュエータとする尿道開閉用人工バルブの開発を行うものである.本年度は二方向性形状記憶合金の薄板からなる人工尿道バルブの改良および非接触経皮的電力伝送システムを用いた電力実験を行いバルブ及びエネルギ伝送システムについて検討を行った.得られた結果を要約すると以下のようになる。 (1)試作改良を繰り返し小型化さらに体内に埋め込んでも安全な形状のバルブを製作し、動物実験によってその動作特性を確認した。 (2)電力伝送システムは発振・増幅・伝送回路から構成された小型の経皮的電力伝送装置を開発し、実験室レベルおよび動物実験により動作確認を行った。実際,供給電力は約7Wで開発したバルブの駆動が出来,携帯としての電池駆動の可能性が示せた。
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