仮想陰極発振器で発生した大電力パルスマイクロ波(ピーク電力20MW、パルス幅15ns、発振周波数12GHz)を円形ホーンと収束レンズを介して、放電容器内の放電ギャップに照射して放電の誘発を行った。なお、放電ギャップは、球一球キャップ(直径4.1cm、ギャップ長1.4cm)で、あらかじめ火花電圧以下の直流電圧を印加しておく。気体は、乾燥空気で100Torrから大気圧の領域で実験を行った。放電発光のストリーク及びフレーミング像を、イマコン792で観測すると同時に、放電電流はオシロスコープで計測した。結果は、以下の通り。(1)実験を行った圧力100Torrから大気圧の全領域で、マイクロ波入射によって放電が誘発される。 (2)圧力300Torr付近を境に、2つの発光形態がある。300Torr以上の領域では、マイクロ波入射から約数10ns遅れて、電極間の5〜7箇所で局部放電が開始し、これらが進展してお互いに繋がったときに火花放電に至る。局部放電開始から火花に至る遅れ時間は、電子雪崩の進展時間と概ね一致する。 (3)圧力が300Torr以下では、2段階の放電が起こる。即ち、第1回目の放電がほとんど消滅した後(正確には残存している場合も多い)、第2回目の放電発光が観測される。第1回目の放電は、マイクロ波入射とほとんど同時に電極間中央で1個の放電が発生し、続いて中央の放電と両電極間に放電が起こる。これは、電極間中央の放電発生により、最初の放電と両電極間の電場増大して放電が起こると考えている。第2回目の放電過程については、いまのところ明らかになっていない。
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