光の波長程度の周期構造においては、対応した波長帯の光の伝搬が禁止されるいわゆるフォトニックバンドギャップが発現するが、その周期構造を液晶の螺旋周期構造で実現できる可能性を検討するとともに、周期構造内におかれた掖晶分子がフォトニックバンド内でどのような振る舞いをするのかを検討した。フォトニックバンドギャップの実現に必要な屈折率の変調度の大きさを計算し、それが液晶において実現可能であるか検討するとともに、液晶材料の屈折率の異方性を増大させる方法について理論的検討を行った。同時に、光学的異方性媒質が周期構造を形成した場合のフォトニックバンドギャップへ及ぼす影響についても検討するために、周期構造物質として人工オパールを採用し、その中に液晶材料を導入した系を用いた。すなわち、直径160〜300nmのSiO_2微小球から厚さ数ミクロンの人工オパールの作製に成功し、それにネマチツク液晶、強誘電性液晶を浸透させて、人工オパールのストップバンドに及ぼす影響について調べた。ストップバンドは液晶の導入により長波長側にシフトし、また、温度を変えた場合、液晶の相転移に伴って、ストップバンドの位置がシフトすることを見出した。また、電界印加によってはストップバンドの位置のシフトは観測されず、人工オパール内に浸透している液晶が電界に応答しないことが明らかとなり、微小空間に閉じこめられた液晶とSiO_2用面との界面相互作用の大きさから検討し、今後SiO_2の表面処理に関して検討することの重要性を示唆した。
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