本研究では、歩行動作に伴う運動に障害を有する人を対象として、新たに適応的な補助脳(人工運動中枢神経系)を組み込むという発想で、歩行支援を実現しようとするものである。福祉用途を目的として、軽量外骨格系舗装具と組みあわせることにより、将来的に有用性が期待される適応自律協調型ハイブッリド運動支援システムの構築を試みるものである。当該研究期間の研究成果は以下のようにまとめられる。 1) 生体の筋肉特性を有するシミュレータを開発することが出来た。 2) リカレントニュ7ラルネットワークと遺伝的アルゴリズムで構成される人工運動中枢神経系に信頼性機構として解析的運動制御系を並列に配置し、これにセンサー系感覚フィードバックを組み込むことによる補助脳系のカーネル開発を遂行することが出来た。 3) ロボット工学、制御工学における姿勢制御・歩行アルゴリズムの導入と比較し、創発機能と新たに提案したフェーズシーケンス手法の比較を行ない、両手法の統合に運動適応機能の大幅な飛躍が期待出来ることがわかった。 4) 本手法を実験的に検証するため、第1段階として、軽量外骨格系パワーアシストシステムを試作することが出来た。 5) 筋肉が多少動かせる患者には、筋電フィードバックによりパワーアシストを実現させ、立位座位の動作が可能なように適応アルゴリズムを開発した。 6) 筋電とモータートルクとの対応関係を構築する事が出来た。これにより、片足での筋電フィードバック実験を行ない、遂に、筋電パワーアシストの基礎実験に成功した。 7) トータルシステムとして、両脚の軽量外骨格系パワーアシストシステムに対して、駆動回路の開発を行なった。 今後は、本システムの動作実験、及び、立ち座り動作等の効果的動作獲得の実証段階に入る計画である。
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