研究概要 |
使用した防菌剤:有効菌数199菌及び32菌の有機系防菌剤2種と無機系防菌剤の合計3種類を使用した。 防菌剤を添加したモルタルの物性試験 防菌剤の添加率が3%のときは、いずれの防菌剤においても無添加のものより凝結時間が多少長くなるものの、JISの規格値である始発1時間以上、終結10時間以内を十分満足した。また、フロー試験においても添加率が3%であれば、無添加のものと大きな差異は認められなかったことから、モルタルに添加する防菌剤の添加率は凝結時間の点からは3%以内が妥当であると考えられる。また、材齢28日の圧縮強度では有効菌数199菌の有機系防菌剤を添加したモルタルでは無添加のものと同程度の強度が得られたのに対し、有効菌数32菌の有機系防菌剤を添加したモルタルでは無添加の強度の8割程度、無機系防菌剤を混入したモルタルでは5割程度と強度低下が見られた。また、曲げ強度に関しても同様であった。 防菌剤を添加したモルタルの抵抗性試験 MIL変法(MIL,STD,810D,Method.508.3変法)にて抵抗性試験を行った結果、いずれの防菌剤においても試験期間21日目までは菌類の付着は見られなかったが、試験期間28日目では有効菌数32菌の有機系防菌剤と無機系防菌剤を添加したもの及び無添加のモルタル供試体に菌類の付着が認められた。しかし、有効菌数199菌の防菌剤を混入したものに関しては、試験期間60日を経過しても菌類の付着は見られなかった。ここで、試験期間21日は一般環境の3年程度、28日は5年程度、60日は10年程度に相当し、有効菌数199菌の有機系防菌剤を添加することにより長期にわたる防菌効果が期待できることがわかる。また、防菌剤の添加率による差異は認められなかったが、施工方法の違いにおいて防菌剤をP.Pモルタルに添加してモルタル供試体に塗布した場合に、特により強い防菌効果が確認された。
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