わが国の都市域を流れる河川では、水が繰り返し利用されているのが通例であり、この状況下ではいくら高度処理を施しても、人の飲料水としては受け入れ難いと考えられる。本研究は、水が繰り返し利用されている琵琶湖・淀川水系を対象とし、水利用形態の評価を行った。地理情報システム(GIS)を用い、上水、下水などの水利用データを組み込み、流域内の主な地点において「水の履歴」を評価した。得られた結果を以下にまとめる。 琵琶湖・淀川流域の内的・外的システムをとりいれた分布型水文モデルを構築し、流域内流量評価地点における月間平均流量を決定係数0.99の精度で再現できた。 ついで、流域内の任意の地点で、水道水中の下水の体積比率を繰り返し利用回数ごとに算定した。例として、大阪府柴島浄水場給水区域では、家庭用水またはトイレ用水、人体排泄水として最大で5回利用された下水が含まれており、総量では下水は4.4%の体積を占めていると推定した.また流域全体では全体の52%の人口に5回繰り返し利用された水を含め水道水を給水していると推定した。
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