わが国の都市域を流れる河川では、水が繰り返し利用されているのが通例であり、この状況下ではいくら高度処理を施しても、人の飲料水としては受け入れ難いと考えられる。本研究は、水が繰り返し利用されている琵琶湖・淀川水系を対象とし、水利用形態の評価を行った。 流域内の任意の地点で、水道水中の下水の体積比率を繰り返し利用回数ごとに算定した。例として、大阪府柴島浄水場給水区域では、家庭用水またはトイレ用水、人体排泄水として最大で5回利用された下水が含まれており、総量では下水4.4%の体積を占めていると推定した。また流域全体では全体の52%の人口に5回繰り返し利用された水を含め水道水を給水していると推定した。さらに、通勤・通学による流域内での人の動きを推定した上で、例えば上流の大津市の人が下流の大阪府の水を消費していることを示した。これによって流域の一体的管理の必要性を論じた。
|