研究概要 |
本年度は主に病原虫クリプトスポリジウムの生育活性の評価法を確立する目的で、クリプトスポリジウム中のATP濃度の測定法についての研究を行った。それとともに、浄水場・下水処理場でのオゾンによるクリプトスポリジウムの不活化を念頭において、その不活化の過程のモデル化を試みた。 ATP濃度の測定法に関しては、これまで大腸菌群等の微生物からのATPの測定に関しては研究が進められてきたが、クリプトスポリジウムのような堅い殻(オーシストウォール)を持つような微生物のATPの測定は行われてこなかったため、ATP測定のための前処理法についても検討し,結果として超音波処理を前処理に用いることによりATPの抽出が可能であることがわかった。 更に、ATPを測定することにより得られるクリプトスポリジウムの活性の度合いは、これまで一般に用いられてきた脱嚢法により評価される活性の度合いと相関関係を示し、今後ATPを測定することによりクリプトスポリジウムの活性を評価しうる道が開けたといえる。 また、不活化の過程のモデル化においては、従来から用いられてきたCT値の概念は用いず、新しくクリプトスポリジウムの不活化のパスを仮定し、その反応速度定数を求めることにより、全体の不活化を評価することを試み、各種定数の計算を求めるためにオゾン消毒実験を実施した。
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