研究概要 |
環境中に存在する微量汚染物質の内、変異原性を有しかつ内分泌撹乱性を有する物質(例えば、プラスチック可塑剤として多用されるDBPやDEHP)、ガソリンからの除去が進められているベンゼン(白血病誘発物質)の代謝生成物であるベンゾキノン等、数種類の物質を選択・特定し、培養ヒト細胞を用いてDNAレベルでの変異原性試験、細胞レベルでの曝露試験を実施し、発癌性物質と内分泌撹乱性物質のDNAレベルでの作用機構の共通点および相違点を把握すると共に、その影響を定量的に比較するための指標とその定量方法を提示することを目指して研究を推進している。 平成11年度は、特に、以下の課題を設定して研究を推進した。すなわち先ず、人の生活環境中に存在するDBP,DEHP等の内分泌撹乱性を疑われている物質の簡易測定法であるSPME法の特性を把握するとともにその分析感度や分析手順を特定し、生活環境及び屋外環境環境中の濃度並びに市街地土壌中の存在量を分析し、人への曝露量を把握する条件を整えた。また、人細胞およびマウス細胞を用いて行う変異源性試験の対象物質として、煙草の排煙や自動車排気ガス(ガソリン)中に含まれるベンゼンの体内代謝生成物質であるパラ(p)・ベンゾキノンに注目し、p-ベンゾキノンを抽出したマウスのDNA(pNY200)およびヒトDNA(pMY189)に曝露し、DNAに対する変異原性を試験し、変異原性の種による相違について検討した。同じくベンゼンの代謝生成物質であるハイドロキノンを用いた変異原性試験を予備的に実施した。
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