研究概要 |
一般の食品貯蔵に比べて、野菜類の貯蔵には-1〜0℃,95〜100%とかなり厳格な高湿度氷温環境が求められ、通常は冷却しながら噴霧加湿を行うなど、その貯蔵環境維持に多くのエネルギーと複雑な制御を要している。 本研究は、寒冷地に於ける伝統的な貯蔵庫の熱環境調査より、エネルギーに頼らずに青果物の長期保存を可能とする貯蔵環境づくりの知恵を探り、それを環境調和型の貯蔵計画に活かすことを目的としている。 本年度は、寒冷地に於ける伝統的な貯蔵法が、冷却機器に頼らずに安定した低温・高湿度環境を維持していることに注目し、「土囲い」や「土ムロ」型貯蔵庫の熱環境調査を行った。寒冷気候の下では、雪は冷熱源としてよりもむしろ断熱材としての働きが重要になってくる。寒地の特質でもある自然の冷却力を貯蔵に活かすには、厚い雪の断熱と地盤の巨大な熱・湿気容量が凍結防止と低温・高湿度環境維持に不可欠であることが明らかになった。現在、小型の断熱BOXを用いた試験貯蔵庫で、その熱特性を検証中である。 次年度は、厚い断熱を施した水槽内蔵の試験貯蔵庫において、水を直接冷却することによって貯蔵庫内に氷水面を形成し、僅かなエネルギーで冷却と同時に高湿度が維持される氷温環境の形成を試み、省エネルギー型の通年貯蔵の可能性について検討することを予定している。
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