日本の義務教育における学校施設の在り方が大きく変わろうとしている。その内容は、情報化・多様化教育、教える教育から学ぶ教育のほか、生涯教育や地域開放、少子化に伴う空き教室の対応などである。その中で、障害をもつ子供達を普通学校において教育する共生教育の動きがみられ、特殊学級の併設などの実施例が目立つようになってきた。 今後、学校において障害児を分け隔てることなく教育をする時代に入りつつある中で、バリアフリー環境を配慮した学校の設計条件を明らかにするために、公立の普通学校、養護学校のほか、ハートビル建築についてもその実態を調査した。研究では、「行きたいところに行ける」ことが最も重要であると考え、肢体不自由児の使用を前提にアクセスを中心にトイレなどの水廻り設備についてその問題点を明らかにした。 調査の結果、バリアフリー化の努力のみられる学校もあったが、アクセスに関しては何とか使用できるとはいえ、細部について改善の余地が多くみられる。生涯教育や地域開放の役割を考慮すると、建築計画では対象とされにくい建築・人間工学の観点からの評価の重要性が確認された。また、肢体不自由児のほか、視覚や聴覚障害児についての対応も検討すべき時期にきていると考えられる。
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