研究課題/領域番号 |
10875136
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬越 佑吉 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029216)
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研究分担者 |
安田 弘行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60294021)
中野 貴由 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30243182)
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キーワード | 磁性 / 疲労 / 破壊 / 転位 / 寿命予測 / 信頼性 / 変形 / 面欠陥 |
研究概要 |
疲労破壊現象の解明には、転位の往復運動の所産としての変形微細組織の形態観察が不可欠である。しかし、電子顕微鏡によるこれら転位組織の観察は、局部的情報しか与えず、疲労寿命を支配するクラックの発生、伝播とこれら微細組織変化との関係について微視的巨視的両面からの情報を得る必要がある。L1_2型金属間化合物Ni_3Fe単結晶を用い、その疲労変形特性を調べた。さらに結晶中の転位ならびにそれによって導入される面欠陥によって磁気特性が変化することを利用し、特にその異方性から疲労変形によって導入された変形微細組織の観察を行った。 Ni_3Fe規則合金単結晶は、疲労変形初期には著しく疲労硬化した。その疲労寿命は歪振幅の増加に伴って短くなった。これは転位の切り合いによって形成されるAPBチューブによってもたらされた。更に疲労変形が進行すると、疲労軟化現象が現れ、最終的には試料は破壊した。このような特異な疲労軟化過程においては、変形は局部に集中し、変形帯を形成した。この変形帯近傍では、交差すべりが頻繁に起こり、高密度に転位が堆積していた。このような疲労段階における飽和磁化率、透磁率の結晶方位依存性を測定した結果、転位の磁歪による異方性のみで、超格子転位によって導入されるべきAPB形成による磁気異方性は消失し、このような領域では不規則化が進行していることが明らかとなった。このように局部的な変形の進行に伴い、不規則化が起こり、この部分での軟化が進行し、疲労軟化がもたらされることが明らかとなった。
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