研究概要 |
[Re(X_2bpy)(CO)_3PR_3]^+及び[Re(X_2bpy)(CO)_2(PR_3)_2]^+(X_2bpy=4,4'-X_2-ビピリジン;R=OMe,OEt,O-i-Pr,Et,Bu)は、還元剤共存下光照射すると、ほぼ定量的に1電子還元種に変換されることがわかった。1電子還元種は、フロー電解法によっても定量的に得ることができた。この1電子還元錯体はいずれも脱気下では安定で、10分から数十時間の寿命を持つことがわかった。1電子還元種の安定性は、ビピリジン配位子の置換基に大きく依存した。電子吸引性の置換基をビピリジン配位子に導入すると、1電子還元種の安定性は増し、逆に電子供与性基を持つ錯体の減衰は早かった。減衰はほぼ2次速度式で解析できた。従って、ゆっくりした不均化等の反応がおこっている可能性が高い。1電子還元種と二酸化炭素の反応について検討した。二酸化炭素雰囲気下では、1電子還元種の寿命は短くなり、その減少は擬一次速度式で解析できた。本研究で求めた反応溶液中の二酸化炭素濃度を用いて一電子還元種と二酸化炭素の二次反応速度定数を求めた。この速度定数はbpyの置換基X及びリン配位子の種類に大きく依存した。すなわち、XがHかMeでリン配位子が亜リン酸トリエステルの場合は反応が早いが、XがCF_3かトリアルキルリン配位子の場合は、非常に遅いかほとんど二酸化炭素とは反応しないことがわかった。1電子還元種[Re(bpy^<-・>)(CO)_2{P(OEt)_3}_2]の発光を、電解装置と発光測定装置を組み合わせて測定したが、観測されなかった。他の錯体について、現在発光を調べているところである。
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