研究概要 |
(1)SiO_2系での希土類一元系及び二元系酸化フッ化物ガラス(Si_x-LnLn'OF)の作製を試み以下の結果を得た。1300℃以上で1時間程度焼成後、液体窒素を用いて急冷することにより、いくつかの希土類についてLnF_3-AlF_3-SiO_2系での酸化フッ化物ガラスの合成が可能であることがわかった。そのうちNd含有系について相図の作成を行ったところ、60wt%以上のNdを含有する酸化フッ化物ガラスが合成できることがわかった。この60wt%という濃度は希土類の濃度としては従来の酸化物ガラスあるいはフッ化物ガラスと比較して高い値である、また、AlF_3の有無によるガラス形成能の変化について整理したところ、AlF_3を含有することがこの系でのガラス合成には不可欠であることがわかった。(2)作製したガラスの組成分析を特にフッ素の濃度に留意しつつ行う方法として波長分散型EPMAを用いた定量方法を確立した。従来EPMAでは酸化フッ化物中のフッ素の分析は試みられてこなかったが、今回波長分散型EPMAでフッ素のピークを正確に検出することにより分析が可能であることを見出し、ZAF法による分析結果が十分正確であることを確認した。分析結果からAlF_3が焼成過程において昇華するため、LnF_3-AlF_3-SiO_2系では焼成後組成を制御するのが非常に困難であることがわかった。(3)DTA測定の結果、LnF_3-AlF_3-SiO_2系ガラスのガラス転移点は700〜800℃であることがわかった。ガラス転移点としては一般的に用いられているAl_2O_3-SiO_2(715℃),Al_2O_3-B_2O_3-SiO_2(565℃),ZrF_4-BaF_2-LaF_3-AlF_3-NaF(250℃)などのガラスよりも高いものであった。
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