分子内架橋反応を用いる新しいモレキュラーインプリント法を目指して、まず、6位が全部アミノ化されているβーシクロデキストリン51.7mgをγーチオブチロラクトン(0.5ml/DMF2ml)と反応させた。反応は窒素置換条件下90℃で100時間行なった。この反応終了後、精製は1-ブタノールを用いる再沈で行なった。そして、すべてのアミノ基が末端にSH基を有する生成物に変換した。収率は67%であった。これを用い、ゲスト存在下、包接ゲストの形状を記憶するようにS-S架橋を行なった。しかし、S-S形成は分子内だけでなく、分子間でも顕著に起こり、別のアプローチを必要とすることが判明した。そこで、基盤にシクロデキストリン単位をさせて、シクロデキストリンの積層のしかたがゲスト分子に特異的であるような系の作製を試みた。まず、ガラス表面に金を薄くコートさせ、S-S架橋しているシクロデキストリンダイマーを金表面に並べる試みを行なった。まず、ガラス表面に金の薄膜を形成するため、スパッタリング操作を時間を変えて行なった。スパッタリング時間を30、60、180、600秒と変えたところ、30および60秒の時間で得られたサンプルがかなりな光の透過率を示すが、長時間のものは透過率を下げることが判明した。S-S架橋しているシクロデキストリンダイマーを第一層にし、第二層以降はアミノ化シクロデキストリンとの銅イオンを用いる配位結合を利用する方針のもとに、まず、アミノ化シクロデキストリンの銅イオンによる配位を試みたところ、一週間たつと固体が生成してきた。現在、この固体について検討中である。
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