• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

高分子と炭酸カルシウムの高次積層化によるバイオミネラル型有機/無機複合体の構築

研究課題

研究課題/領域番号 10875188
研究機関東京大学

研究代表者

加藤 隆史  東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (70214377)

キーワードバイオミネラリゼーション / 有機無機複合体 / 炭酸カルシウム / アラゴナイト / カルサイト / 薄膜 / 相互作用
研究概要

自然界における真珠や貝殻などのバイオミネラルにおいては,無機結晶と生体高分子が精緻な積層構造を形成し,これが強靭さや独特の光沢を発現している。このようなナノレベルでの精密構造を人工的に構築できれば,環境低負荷の新しい高性能/高機能材料が得られると考えられる。本研究においては,天然高分子のキチンやキトサンの薄膜あるいは繊維上に,炭酸カルシウム飽和水溶液から,均一な炭酸カルシウム薄膜を形成させ,有機高分子/無機複合薄膜を作製することに成功した。形成する無機薄膜の均一な厚みは,条件により0.6μmから1.0μmまでに制御することができた。すなわち,炭酸カルシウム水溶液中に,ポリアクリル酸・ポリアスパラギン酸などのカルボキシル基含有高分子がある一定濃度存在する場合,カルボキシル基と相互作用可能な官能基を有する高分子固体マトリクス上に炭酸カルシウムの薄膜が形成することを見出した。さらに,高分子と炭酸カルシウム薄膜の形成を交互に行うことにより,積層した有機/無機薄膜を作製できた。炭酸カルシウムには,カルサイト・アラゴナイト・バテライトの三種の結晶形(多形)があるが,天然真珠を構成しているのはアラゴナイトである。このアラゴナイトは人工的に形成させるのは最も困難である。先に述べた薄膜形成系においても,得られたのはカルサイトとバテライトの薄膜のみであった。しかし,さらにマグネシウムイオンを添加することで,アラゴナイトの薄膜を形成することにも成功した。生体から抽出したタンパク質ではなく,このような単純な高分子や無機イオンの相互作用で,多形が制御された炭酸カルシウムの薄膜が形成した例はなく,新しいマテリアルの構築手法として意義が大きいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] T.Kato, T.Suzuki, T.Irie: "Layered Thin-Film Composite Consisting of Polymers and Calcium Carbonate : A Novel Organic/Inorganic Material with an Organized Structure"Chemistry Letters. 2000年2号. 186-187 (2000)

  • [文献書誌] A.Sugawara,T.Kato: "Aragonite CaCO_3 Thin-film Formation by Cooperation of Mg^<2+> and Oeganic Polymer Matrices"Chemical Communications. (印刷中). (2000)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi