研究課題/領域番号 |
10876011
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
古澤 壽治 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (70127166)
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研究分担者 |
小谷 英治 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (10273541)
杉村 順夫 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (20273542)
一田 昌利 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (40223101)
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キーワード | 微少重力 / カイコ / 胚発生・分化 / 営繭行動 / トレハラーゼ / シュクラーゼ / 奇形 / クリノスタット |
研究概要 |
カイコ成熟幼虫は、営繭するのに適当な立体空間があれば吐糸し、品種固有の楕円型、俵型、紡錘形などの繭を造る。そして、繭糸にはトレハラーゼとシュクラーゼ活性が検出できる。しかし、上記の繭型を造らないような人為的操作を加えた場合、例えば平らな場所で吐糸させた平板状の繭糸の両酵素活性は、正常に営繭した繭糸のそれらの約80%であった。このことは、吐糸行動の違いがトレハラーゼやシュクラーゼ活性に反映されると推察できる。そこで、模擬微小重力下でのカイコの吐糸行動を繭糸の両酵素の活性を指標として考察した。まず、4品種(小石丸、アンナン、二眠蚕、N4)の成熟カイコをクリノスタットを用い、水平及び垂直回転下で営繭させたところ、1品種(小石丸)は、静止区と水平回転区では俵型状に営繭したのに反し、垂直回転下では鳥の巣状に営繭した。これらの繭糸トレハラーゼ活性は、静止区(80.5±2.7nmoles/min/100mg繭糸)、水平回転区(80.4±3、7nmoles)とほとんど有意な差はみられなかったが、垂直回転区では63.0±1.4nmolesと両者に比べ低かった。また、アンナシでは、いずれの区においても紡錘型の繭を造ったにもかかわらず、静止区のシュクラーゼ活性(104.5±2.8nmoles/min/100mg繭糸)に比べ、水平区では262.4±7.2nmolesと約2.5倍、垂直回転区では39.0±1.8nmolesと約63%の低下した。吐糸前の成熟幼虫は背地性を示し、また吐糸行動には神経系、営繭のための立体空間、光条件等が関与するが、以上の結果は、重力も吐糸行動に影響を与え、さらに繭糸の性状変化をも引き起こすと推察した。
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