セリシンの抗酸化作用の機構解析 セリシンの抗酸化作用が銅依存性の作用であるのか否か検討を加えた。実験系として、銅イオンによってLDLの自動酸化を促進させる系で実験を行った。その結果、この実験系では、セリシンが顕著に酸化抑制作用を示すことが判明し、また鉄イオンによるLDLの酸化促進に対する抑制効果よりも顕著であった。これらの実験結果からセリシンの抗酸化作用の一部は鉄よりも銅とのキレーションによるものであることが推定された。 セリシンの生体調節調節機能の検討 (1)平成10年度の予備実験でセリシンが大腸がんの発現を抑制する可能性を示した。今年度では、実験動物の匹数を増やし飼育期間も延ばし、本実験を行った。その結果、セリシン添加食がジメチルヒドラジン誘発大腸がんの発現を抑制することが実証された。その機構解析も一部行った結果、その発がん抑制は大腸粘膜の細胞増殖の抑制によるものではないことが示された。(2)ジメチルベンズアンスラセン誘発ラット乳がんのモデル系でセリシン添加食が乳がんの発現を抑制するのか否か検討した。その結果、セリシン添加食は乳腺腫瘍の発生数を顕著に抑制することが明らかとなった。(3)セリシンがミネラルの小腸からの吸収を促進させるか否か、検討した。その結果、セリシン添加食がFe、Zn、Mg及びCaの見かけの吸収率を増加させることを明らかにした。(4)デキストラン硫酸誘発ラット大腸炎のモデル系でセリシン添加食が大腸炎を抑制するのか否か検討した。その結果、セリシン摂取が大腸炎を軽減させる可能性が示された。
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