植物体におけるビタミンB_<12>の存在を有機物施用との関連で調査するとともに、ビタミンB_<12>エンリッチ野菜の生産を有機物施用および養液栽培によって試みた。 1.有機物施用とビタミンB_<12>との関係 1)コンポスト化した有機質資材にはいずれもビタミンB_<12>が含まれており、かつ、その素材となる畜糞中にも高濃度のビタミンB_<12>が存在した。 2)コンポストの施用量の増加に伴って畑土壌中のビタミンB_<12>含量は高まった。 3)スイートコーンの根溢液やメロン果実、キャベツ茎葉およびスイートコーン子実にはビタミンB_<12>が含まれていたが、その含量は畑土壌への有機物施用量や土壌中のビタミンB_<12>含量と必ずしも対応していなかった。また、同様の現象は多くの他の葉菜類においても認められた。 2.養液栽培によるビタミンB_<12>エンリッチ野菜の生産 1)ビタミンB_<12>(1mgl^<-1>)を添加して養液栽培した多数の葉菜類(コマツナ、ホウレンソウ、サラダナ、クレソン、細ネギ、ミツバなど)には高濃度のビタミンB_<12>が含まれ、その集積は収穫1週間前より添加した場合においても認められた。 2)同様の現象はトマト果実においても認められたが、さらにトマトの樹上果実のガク片へのビタミンB_<12>散布処理によっても上記以上の効果が認められた。しかし、収穫トマト果の花梗へのビタミンB_<12>浸漬処理は効果的でなかった。 3)これらの結果から、ビタミンB_<12>エンリッチ野菜の安定生産には養液栽培が有効であり、葉菜類に対してはビタミンB_<12>の培地添加が、果菜類に対しては樹上果実に対するガク片へのビタミンB_<12>散布処理が有効であことが明らかにできた。
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