葉面電位変化を用いた植物の栄養診断の研究については、一昨年までに窒素やリンの養分欠乏状態にあるメロンが0.65-0.95Hzで特徴的な低周波信号を発していることを見いだしていた。萌芽的研究計画の申請時には、測定周波数範囲を10-20Hzに拡大し、窒素やリンのほか、マグネシウム欠乏症についても葉面電位変化の測定によって診断が可能と統計的に推測されていた。 本年度は、供試作物をトマトにかえて1-20Hzの葉面電位変化を測定したところ、窒素欠乏症とマグネシウム欠乏症について上述のメロンと同様な情報が得られた。これを詳細に解析したところ、窒素欠乏においては14Hzと16Hzの電位が、マグネシウム欠乏においては6Hzと19Hzが大きくなることを見いだした。さらに、ミニトマトを用いた実験でも同様な結果が得られたことから、これらの葉面電位変化は植物が養分欠乏を発症した時の共通の信号であることがうかがえた。 本年度に解決すべき具体的な課題は2つあった。まず、昼間に圃場で葉面電位変化を測定可能とすることについては、導電性透明フィルムの適用によって解決したが、ノイズの多い昼間よりも夜間のほうがより良い情報が得られるとの結論に達している。また、作物体の測定部位の選定については、大まかで良いことを確認している。 以上の成果は、補助金によって購入した高性能ノートパソコンによって多くのデーターを処理出来たためである。心よりお礼申し上げる。
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