研究概要 |
先に得られた物質AM-1及びNCA-D6関連物質の単離精製、構造決定、作用機構の解明を行った。AM-1関連物質と想定されるAM-2を単離した。 AM-2はキチン合成酵素の一部を欠損した株にのみ生育阻害をもたらし、同時に行った野生株には生育阻害は見られなかった。また、その他の糸状菌Aiternaria sp.、Fusarium oxysporum、細菌Salmonella typhymurium、Bacillus subtillisにも生育阻害は見られなかった。AM-2の機器分析の結果分子量が303、分子式がC_<21>H_<37>Nであることがわかった。AM-2は、野生株の粗精製キチン合成酵素反応を阻害することが確認された。また、^3H-uraci1、^3H-thymidine、^3H-leucineを用いた取り込み実験の結果、AM-2が3H-uracilと^3H-leucineの取り込みを阻害しており、AM-2によるRNAおよびタンパク合成が影響を受けていると示唆された。 NCA-D6関連の少なくとも4つの物質が確認された。NCA-D6も、キチン合成酵素の一部欠損株にのみ生育阻害をもたらし、同時に行った野生株には生育阻害は見られなかった。また、その他の糸状菌Aiternaria sp.,Fusarium oxysporum、細菌Salmonella typhymurium、Bacillus subtillisにも生育阻害は見られなかった。分子量646、分子式C_<37>H_<58>O_9であり、その構造を明らかにした。NCA一D6は野生株の粗精製キチン合成酵素反応を阻害しまた、^3H-uracil、^3H-thymidine、^3H-leucineを用いた取り込み実験の結果、3H-leucineの取り込みを阻害しており、タンパク合成が影響を受けていると示唆された。既知の物質ではあったものの、キチン合成を阻害するという報告は本研究が初めてである。 構築したアッセイ系を用い植物内生菌(endophyte)から、探索を行った。細菌130株、糸状菌130株について、活性物質生産を試験したところ細菌4株、糸状菌2株の合計6株がキチン合成酵素欠損株に生育阻害をもたらす物質を生産していることが、示唆された。 現在、それらの菌の生産する物質について再確認を行っている。
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