研究概要 |
Streptomyces griseusのCHSホモログ遺伝子をpET16bにクローニング、E.coliBL21(DE3)に導入し、N末端にHis-Tagをもつ蛋白を生産させたところ、可溶性、不溶性の両画分に42.7kDaの蛋白が得られた。ニッケル力ラムを用いた精製により可溶性画分から電気泳動上単一な酵素標品を取得できた。この酵素を用いマロニルCoAを基質とし反応を行ったところ、反応は速やかに進行した。[^<14>C]アセチルCoAと非ラベル体のマロニルCoAを基質とした場合、放射能をもつ生成物は検出されなかった。これらの結果は、本酵素がアセチルCoAではなくマロニルCoAをスターターとするC2ユニットの伸長反応を触媒していることを示唆している。なお植物のCHSにおいて一般的なスターターである4-クマロイルCoAは本酵素の基質とならないことも明らかになった。次に反応生成物を液体クロマトグラフィーマススペクトロメトリーを用いて解析したところ、生成物は1,3,6,8-tetrahydroxynaphthalene(THN)とTHNが非酵素的に酸化されたflaviolinであることが判明した。よってCHSホモログ遺伝子産物は新規なポリケタイド合成酵素であると決定づけることができた。一方、CHSホモログ遺伝子の上流、下流併せて14kbのDNA断片をクローニングし塩基配列を決定した。当初の予想とは異なり、CHSホモログ遺伝子の周辺にはフラボノイド生合成遺伝子は存在しないことが明らかになった。
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