研究概要 |
A. ミクワパイロリシス:CCA処理木材(ベイツガ Tsuga heterophy lla sarg)の表面部分をナイフで削り取り、105℃の乾燥機内で水分を除去後、乾燥状態で冷却し、調製したものを実験に供試した。調製した試料をパイロホイル内で358℃,445℃,590℃,1040℃に加熱した。各加熱温度に到達する時間を5秒に設定し、キューリーポイントパイロライザーによって試料の昇温を行った。加熱後、試料の重量減少率を測定するとともに加熱残さ中のヒ素の量を測定し、発生気体の定性解析を行った。 B. グラスパイロリシス:CCA処理木材(ベイツガ Tsuga heterophy 11a sarg)を粉砕した後反応容器内で室温から400℃,500℃,600℃まで直線的に加熱した。各加熱温度に到達すると同時に加熱を終了し、気化物を液体窒素により冷却し、液化した。固相、液相、気相中のオイルの収率を計算し、AAS、ICPを用いてヒ素の量を測定した。 ミクロパイロリシスの結果、358℃,445℃,590℃,1040℃の加熱によって、それぞれ10%,70%,80%,94%のヒ素を発生気体中で検出した。無処理試験体中では木材由来の成分として2,5-ジメチルフラン、CCA処理木材中からは3-フルアルデヒドが検出された。CCA処理木材を廃棄する過程で加熱条件を検討することで、銅、クロム、ヒ素を木材中に残し、加熱により発生した物質をバイオオイルとしてエネルギーに利用できる可能性があることがわかった。 グラスパイロリシスでは、AASによる解析の結果、目標温度の増加とともにオイル中のヒ素の量は増加した。加熱残さ(木炭)を希釈した後、ICPで測定したところ、目標温度の増加とともに木炭粉末中のヒ素の量は増加した。目標温度到達前の昇温過程で、ヒ素が既に移動していることがわかった。
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