研究概要 |
研究の初年度で、黄土のサンプリングに作業時間と経費の多くをさく必要があったので、本格的で詳細な測定は、次年度から行えるものと思う。黄土のコラプス沈下について密接な力学的現象の基本は、土粒子間のせん断抵抗力の低下にある。そのことについて、中国の文献等で調べた。この類の力学現象としてとらえた、研究は、中国では少ないことが分かった。少ない文献の中で、中国科学院水土保持研究所の研究では、黄土高原地域の黄土は、乾燥環境において、風積堆積した土壌と言われる。そのため、通常の土壌に比べ、締固め度が低く、多孔質で浸透がよい。との調査結果がある。また、その他の特徴がある。 すなわち、(1),土壌中に可溶性の炭酸塩の含有量が多い。(2),土壌構造が極めて不均質であるため力学的性質が不均一である。(3),黄土は垂直方向に摂理が発達しているので、浸透能が大きい。(4),土壌の含水比が高くなるとコラプス沈下を起こし易い。そのため、不攪撹乱状態の土で、実験を行うことが望ましい場合が多い。 黄土の締固め試料(攪乱土)における見かけのせん断抵抗角(Φ)は32°〜24°程度、見かけの粘着力(C)は、40t/m^2〜30t/m^2であり、不攪乱土では、見かけのせん断抵抗角(Φ)は、30°程度、見かけの粘着力(C)は、5t/m^2〜50t/m^2との報告がある。筆者らも、その様なデーターを得た。
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