研究概要 |
研究に供した風積土は、中国甘粛省蘭州市郊外の黄河左岸の河岸段丘を構成する黄土である。この河岸段丘は下部が白亜紀の土の上に、1〜2mの河床砂礫の上に、黄土が50〜100m堆積した広さ913haの台地である。年平均気温は、9.1℃で、年間の雨量は、約300mmで6〜8月に集中している。その台地を、今から約40年前に農地として開発し、普通畑として使用した。潅漑方法は、水盤潅漑で、年間825mm程度を5回に分けて潅漑を行っている。その間、畑土壌面が徐々に沈下し、沈下量の大きい場所では、約3mの沈下量が記録されている。 この様な大きな沈下により、幹線水路等の潅漑施設は、破損し、維持管理に多大な努力を必要としている。直径60mm、高さ20mmの円筒供試体を圧密容器に入れ、0.05kg/cm^2の表面圧の元で純水をドリップすることによりコラプス沈下を生じさせた。コラプス沈下と黄土からの水溶性の陽イオンや陰イオンの溶脱量の経時変化を測定した。その結果、コラプス沈下は、10%程度で有る。溶脱量は、陽イオンでは、Caイオンは、徐徐に溶脱し、イオン濃度は5mg/lが続いているが、他のNa,Mg,Kイオンは溶脱時間が3日後には、ほとんど溶脱濃度は微量である事がわかった。黄土は不溶性の炭酸カルシュウムを多量に含んだ土である。炭酸カルシュウムの土壌構造への影響と、潅漑水により、20%もの沈下量を生じる事が、大きなコラプス沈下を生じさせた原因となる事が理解できた。
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