研究概要 |
(1)光合成プロセスの解析 光合成における炭酸ガス固定サイクルと光呼吸サイクルは受光量および炭酸ガス濃度によってその両サイクルがそれぞれ適当な割合で稼働し光障害を未然に防ぎ炭酸同化を続けるという一種の最適化プロセスである.本研究では光合成アルゴリズムの特性として,他の遺伝的あるいは免疫アルゴリズムには見られないアルゴリズムを抽出することに主眼を置きエネルギー浪費サイクルである光呼吸の扱いや入力光の扱いなど局所解トラップの特性に関わる重要課題について解析を行った.また,一般にいうフィットネスを評価する最も効果的あるいは効率的な方法については光合成産物(デンプン)の質の良否をフィットネスとして,フィットネス1は最良のデンプンで最適解であるとすることでフィットネス評価が可能であることを示した. (2)ソフトウェア開発 ソフトウェア開発は(1)で行った解析に従ってコードを書くことになるが,ビット操作と文字列操作の組合せが主な形であるから,コード化当初より計算効率を考慮したプログラミングを行った.また,計算プロセスの理解や後のプログラムの改良なども考慮してグラフィックユーザーインタフェースも充実した形式にした.ソフトウェアとしては実数解探査および組み合わせ問題などに適応できる一般性の高い最適化アルゴリズムとして完成した.ニューラルネットワークの学習,有限要素法を用いた逆構造解析さらに巡回セールスマン問題およびクイーンズ問題などの組み合わせ最適化問題などを解くことに成功した. (3)性能比較 開発した光合成アルゴリズムの性能チェックは主に遺伝的アルゴリズムとの比較試験によって行った.特に,収束性,計算時間,記憶容量要求量および局所解トラップの問題などについて性能比較を行った.その結果,実数解深査問題では多峰性関数の最小値探査などで遺伝アルゴリズムを遥かに凌ぐ高性能が確認された.組み合わせ問題については,それぞれの問題により適用性を改善する工夫を施すことにより遺伝アルゴリズムより高性能か同等の性能があることが確認された.
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