本研究では、染色体顕微切断技術をニワトリのNo.1染色体に応用することにより、染色体より採取したDNAをPCR増幅後、FISH(fluorescence in situ hybridization)法によるマッピングまでの一連の操作を検討し、さらにNo.1染色体特異的DNAのサブクローニングを行い塩基配列を決定した。 顕微切断は、ガラスナイフの先端にいかに染色体断片を付着させるかが回収のポイントであった。1本の染色体より回収した断片は、タンパク質とDNAの複合体であるためにProteinnase K処理によりタンパク質を除去した。PCR増幅に関しては、2回増幅を繰り返すことにより100bpから600bpまでの範囲の増幅産物を確認できた。このことから1つの染色体断片でも十分に増幅可能であることが明らかとなった。得られたPCR産物をビオチン標識しFISHを実施したところ、増幅産物の由来するNo.1染色体上にシグナルを検出することはできたが十分な再現性は得られなかった。さらにこのDNAを挿入断片とするサブクローニングを行いシークエンス反応に供したところ、480bpの塩基配列を決定することができた。 以上の研究結果をもとに家禽における今後の顕微切断法を応用したペインティングマーカーの課題について考察してみると、(1)FISH法におけるシグナルの再現性、(2)複製Rバンドを併用したハイブリポジッションの同定、(3)塩基配列にが決定されたPCR産物の利用、(4)他の大型染色体への応用、および(5)微小染色体識別マーカーの作出などがあげられる。
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