研究概要 |
4ppmおよび0.1ppmの重窒素ラベルした二酸化窒素(NO_2)ガスを含む大気に植物体を暴露すると、NO_2は植物体に吸収され、硝酸イオン、亜硝酸イオンに変換された後、アンモニアを経てアミノ酸、有機体窒素化合物に同化還元されることが明らかにしている(Morikawa et al.,Plant,Cell and Environment,21,180-190,1998)。また、亜硝酸還元酵素(NiR)活性をアンチセンスNiRcDNAの発現によって低下させたトランスジェニックタバコ(271株)に重窒素ラベルした硝酸イオンまたは亜硝酸イオンを吸収させ、植物体から発生する気体をGC-MSで分析したところ、重窒素ラベルされた一酸化二窒素(N2O)が発生することを発見した(Goshima et al.,Plant J.19,75-80,1999)。すなわち、このトランスジェニックタバコ(271株)は、NO_2ガスを植物体に吸収し、硝酸イオンまたは亜硝酸イオンに変換後、N_2Oガスにまで異化的還元をし、大気中に放出することをが予想された。そこで、271株を重窒素ラベルしたNO_2ガスで暴露し、植物体中から放出される重窒素ラベルされたN_2Oガスを測定した結果、NO_2ガスがN_2Oガスに変換されることが明らかになり、「NO_2→N_20ガス変換植物」を作製することに成功した。現在、N_2O発生量の上昇、発生したN_2Oを更に無害なN_2ガスに変換させるべく、四種類の脱窒細菌のN_2O還元酵素遺伝子nosZをクローニングし、これをタバコ271株に遺伝子導入したトランスジェニックタバコを作製し、「NO_2→N_2ガス変換植物」の能力を持つことを解析中である。
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