オイルスキン細胞の進展速度を簡便に計測すべく、顕微鏡に画像処理システムを組み込んだ。膵腺腺房細胞にオイルスキン操作を施し、オイルスキン細胞の細胞膜の有無を確認すべく、オイル中の単一細胞に親水性蛍光試薬(ルシファーイエロー)を与えた。つまり、微小ガラス管の開口部を標本に接触し、試薬の自由拡散を観察した。10分の経過で標本はほぼ均等に染色された。このように、スキンは完成している。 スキン後、オイル層存在下、進展は1-2分の経過を経て完成するようである。水系とオイル系の力学的バランスにより、ほぼ同心円状に進展してゆく。この状態で、再び親水性蛍光試薬(ルシファーイエロ)を標本に与えると、核が明瞭に染色され(ルシファーイエローは核に蓄積する染色剤である)、その周りに非染色領域をもつ像が得られた。この非染色領域は小胞体と推測される。細胞質はまばらに染色され、膵腺腺房細胞に特有のチモーゲン顆粒は消失している。このように、標本は細胞膜を持たず、細胞質と核内との交通を保ち、その周りに管腔空間(小胞体)を有している。これらの基本的知見から、後の実験が示唆される。核への蛍光剤拡散時間から、様々な条件下での核孔サイズの変化が推定しうる。また、それへのファイバー系の関与である。現在、これらへのアプローチを開始している。 オイルを除去し、水系のみにて進展をみると、1-2時間の経過で、不定の膜膨潤あるいはブレッブの形成進展がある。上記記載との関連から、小胞体空間の進展膨潤が考えられる。
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