研究概要 |
本研究は、脂肪細胞が生体防御に果たす未知の役割を解明することを目指したもので、以下の研究成果が得られた。 1.GBP28にLPS様リムルス活性が存在する。その力価はLPS(E.coli,0111:B4)と比較し1/1,000程度であった。 2.GBP28のLPS様活性は、56℃30分で減弱し、何らかの高次構造がその活性と関係していることが推測された。 3.GBP28は、マクロファージに作用してIL-6を誘導する。この作用も加熱により減弱した。しかしながらこれがLPS様作用なのか、C1q受容体を介したものかは不明である。 4.LPSによるマクロファージからのIL-6の誘導を、GBP28が抑制した。つまり、少なくとも一部のLPS活性がGBP28により減弱されることがわかった。 5.LPSshockモデルのラットでは、全身の基質細胞へのGBP28蛋白の沈着が見られたが、血漿GBP28濃度や肝のGBP28mRNA発現量に大きな変化はなかった。 6.肝のGBP28mRNAの発現量が、24時間の寒冷暴露によって約2倍に増加した。このことから、GBP28の発現の制御は炎症性刺激よりも温度環境の変化に大きく左右されることがわかった。 7.腸管由来のLPSが単純拘束ストレスや電撃フットショックストレスで腸管膜や腸管膜リンパ節に速やかに移行する事がわかり、これらの腸管由来LPSは速やかに肝臓・胆道系から排泄された。腸管周辺組織の脂肪細胞から遊離されるGBP28がこの腸管由来LPSの腸管循環に関わっている可能性が考えられたが、詳細は今後の検討課題となった。
|