予定された計画に従って、Gβ1-6 cDNAおよびGγ1-7 cDNAをペイトベクターに挿入し、caspase 1-13 cDNA、ならびに、活性中心にあるcysのserあるいはGly変異体cDNAをtargetベクターに挿入について、two hybrid screeningをLexシステムを用いて行ったが、陽性コロニーは得られなかった。しかし、特異性に優れるLex Aシステムが核内での2分子相互作用を見るのに有利であるが、Gβγとcaspaseとの想定される相互作用は細胞質内で惹起されることを考慮して、次に、細胞質での2分子相互作用を見るに有利なGAL4システムを用いて再検討した。このとき、Gβ2は、caspase 1ファリミーのカスペース(1、4、5)と弱い相互作用を示し、インタラクションサイトが、caspase 1ファリミーでは共通にスモールサブユニットの一部で、カスペース1の第323-343残基に相当する領域であると推定されたが、フィルターを用いた半定量法でのアセスメントには著しい限界がある為、現在、定量法を試みている。更に、Gβ2とcaspase 1ファリミーとの弱い相互作用が、Gγサブユニットの共存で強い相互作用に変換される可能性を考慮して、Gβ2とGγ2との融合遺伝子を作成しベイトベクターに挿入して用いたが、相互作用の強度の変化はいづれのカスペースに対しても見られなかった。そこで、現在、第3のセレクションマーカーを用いたスリーハイブリッド法を確立し、これに定量法を組み合わせた系を用いて相互作用強度の変化を検討している。以上まとめると、今後の改良と更なる検討は必要であるが、目標であったGβγ遺伝子とカスペース分子との相写作用を見い出したばかりでなく、相互作用するカスペース分子種を同定したと考えられる結果が得られ、萌芽研究としての目的を果たしたといえる。
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