ALアミロイドーシスでの、骨髄および局所におけるクローナルな形質細胞の有無を、免疫組織化学的および分子遺伝子学的に検討した。 全身性ALアミロイドーシスは、剖検症例から原発性アミロイドーシスと診断されていた12例の骨髄を用いた。限局性ALアミロイドーシスは、生検22例のうち局所に形質細胞の浸潤が見られた16例(皮膚7例、呼吸器5例、膀胱1例、眼瞼1例、舌1例、唾液腺1例)を用いた。 免疫組織化学的には抗κ、抗λ抗体を用いLSAB法で検討した。分子遺伝子学的には、未染色の組織切片からDNAを抽出し、免疫グロブリン重鎖の再構成をsemi-nested PCR法で検討した。 これまでの結果 全身性Alアミロイドーシスの症例では、骨髄は過形成の傾向にあるものが多く、形質細胞の占める割合は5〜15%と正常に比べて増加していた。抗κあるいは抗λ抗体の一方で明らかに優位な染色態度を呈するものは8例あった。分子遺伝子学的には、用いた骨髄標本が脱灰や、長期に固定されていたなどのため、有効な増幅産物が殆ど得られなかった。 限局性ALアミロイドーシスでは、リンパ球や形質細胞は、アミロイドや血管の周囲に集簇して浸潤する傾向が見られた。抗κ、抗λで明らかに染色性の差が見られたものは16例中6例あり、優位な差が見られなかったものが3例、判定の困難なものが7例であった。分子遺伝子学的には、16例中12例でPCR産物が検出され、モノクローナリティーが検出されたものは9例、ポリクローナルとなったものは3例であった。 現在、λ鎖のV領域を増幅するprimerを作製し、新鮮標本を用いてPCRを行い、アミロイド原性のλ鎖領域のアミノ酸配列の検討を行っている。
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