He1icobacter pylori(H.pylori)に感染させたスナネズミの胃病変においてp53の変異を直接証明するために健常スナネズミp53のcDNAをクローニングしてその塩基配列を決定した。次にこのcDNAをADH1プロモーターの後ろに連結して酵母内でスナネズミp53が発現するようにした。さらにこのp53cDNAのDNA-binding domainの外側に制限酵素の認識部位を人為的につくり、制限酵素で消化した。このようにしてp53 cDNAのDNA-binding domainを取り除いた線状化ベクターをアガロースゲルから回収した。一方、スナネズミの肝臓からRNAを抽出してp53をRT-PCRで増幅した。このRT-PCR産物を前述の線状化ベクターと共に酵母にcotransformした。酵母内では両者間にhomologous recombinationが起こりp53 RT-PCR産物が酵母発現ベクターに組み込まれ環状ベクターが再構成されてp53が発現した。yeast strain yIG397の染色体DNAにはp53responsive elementである3個のRGC配列とその後にCYCl minimal promotcr-ADE2open reading frameが連結されたプラスミドが組み込まれており、正常p53が発現すると酵母は白となり、変異型p53が発現するとde novoプリン代謝酵素であるADE2が発現しないためにアデニン代謝の中間産物が蓄積して酵母は赤になった。このようにしてスナネズミのp53 yeast functional assayが確立された。1年以上H.pyloriを感染させたスナネズミの胃組織からRNAを抽出してp53 yeast functional assayを2匹について行ったがp53変異はまだ確認されていない。その後さらに多数のスナネズミを用いてp53 yeast functionalassayを行った結果、2匹の胃においてp53機能の異常を示す赤コロニーが30%以上に達していることを見いだした。
|