研究課題/領域番号 |
10877038
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
谷口 俊一郎 信州大学, 医学部・加齢適応研究センター, 教授 (60117166)
|
研究分担者 |
江原 孝史 信州大学, 医学部・第一病理学, 講師 (00203646)
竹岡 みち子 信州大学, 医学部・加齢適応研究センター, 助手 (30197280)
|
キーワード | カルポニンhl / ノックアウトマウス / 線維芽細胞 / 線維化 / 加齢 / 形質転換 |
研究概要 |
1. カルポニンh1ノックアウトマウスの創傷部位、例えば尾切断端等で正常なカルポニンh1遺伝子を持ったマウスに比べ線維化が強く生じることを見出した。 2. 創傷部位の線維化には線維芽細胞の関与が考えられるが、正常なカルポニンh1遺伝子を持ったマウスから線維芽細胞を培養し、線維芽細胞にカルポニンh1遺伝子が発現していることを認めた。 3.正常な線維芽細胞3Y1にカルポニンh1、平滑筋型αアクチンが発現しており、これがsrc等の癌遺伝子による形質転換によってカルポニンh1が平滑筋型αアクチンとともに発現低下することを観察した。 4. カルポニンh1ノックアウト加齢マウスにおいて、心筋の間や冠動脈の周辺に線維化が認められ、その程度が正常なカルポニンh1遺伝子を持ったマウスに比べ強いことが分かった。 5. 線維芽細胞以外のカルポニンh1の発現がみられる間葉系の細胞である平滑筋、骨芽細胞等にもカルポニンh1が欠失することによって分化・増殖に影響が現れることを認めた。具体的には子宮形成、骨形成において正常カルポニンh1遺伝子を持ったマウスと欠失マウスとの間に顕著な差が観察された。 以上のことから、カルポニンh1遺伝子産物は線維芽細胞の形質転換に影響をもたらすと考えられ線維化を昂進するための形質に関与していることが示唆された。また、広く間葉系細胞の分化・増殖制御にカルポニンh1は関わることが示唆された。
|