研究概要 |
血清脂質とがん死亡・罹患について各々の疫学的研究が示されている我々は基本健診受診者コホートについて、HDLコレステロール高値群でがん罹患リスクが低いことを既に報告した。今回コホート中喫煙・飲酒・運動習慣ぴ食品項目の摂取状況についての質問票調査を実施しこれら生活習慣をふまえて血清脂質とがん罹患の関係について検討をおこなった。平成4年〜6年に鳥取県下の基本健診を受診したもののうち生活習慣質問票が実施できた2,051人について、平成9年12月末まで鳥取県がん登録により追跡を行い、がん罹患者を同定した。質問票は飲酒・喫煙・運動習慣と毎日の摂取食品項目(魚・肉・卵・大豆,野菜・海草,果物,牛製品,油料理塩分の多いもの,など)及び疾病の既往歴・家族歴と治療中疾患について調査した。これらにもとづき、がん罹患リスクをLox比例ハザードモデルで求めた。HDL-Cについて61mg/dl以上の群で0.23(0.03.1.82)と低い傾向を示した。HDL-Cについては、魚・肉・卵・大豆,野菜・海草,果物,牛製品,油料理で有意に差があった。これらの品目と年齢・飲酒・喫煙・運動習慣について調査を行い、これについて調整を行った解析ではHDLコレステロールに有意ではないが、61mg/dl以上の高値群でがん罹患リスクがHDL-Cについては0.30(0.04〜2.49)と低い傾向に大きな変化は見られなかった。今後、対象集団をさらに拡大して検討をはかる。
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