本研究では、ICUに勤務する看護婦の作業負担や交代勤務による生体リズムの変調、さらには勤務経験などが、ICU看護婦の身体、精神状態に与える影響を検討することを目的とした。調査は、某大学病院集中治療部に勤務する平均年齢27.1歳の看護婦15名を対象に、1998年11月より1999年3月末日まで実施した。調査内容は、自律神経の活動状態の測定を目的としてホルター型心電計による心拍の揺らぎ、アクティブトレーサによる身体活動状況、フリッカー値、日本産業衛生学会産業疲労研究会作成の「自覚症状しらべ」、尿中カテコラミン、唾液中コーチゾルなどの測定を行った。また、労働状況、健康状態・ストレス状況などに関する質問紙調査も実施した。データーは現在解析中であるため、その一部について報告する。 心拍の揺らぎ解析では、高周波は500msec^2/HZ前後であった。副交感神経の機能を反映する心電図R-R間隔変動係数は、勤務中10〜15%程度と比較的高く、睡眠中は低く、自由時間では一般的には高値であり変動が大きい傾向にあった。交感神経系の活動指標と考えられているLF/HF比は、勤務中12〜10と高く、睡眠中は2以下であった。自覚的な疲労度の指標として「自覚症状しらべ」を用いたが、勤務の遂行に伴い、疲労感が増大する傾向が認められた。今後、作業状況、勤務時間帯、経験年数などとの関係で測定データを解析する予定である。
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