研究課題/領域番号 |
10877084
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
穂積 信道 東京理科大学, 生命科学研究所・生命工学技術部門, 教授 (60051744)
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研究分担者 |
今田 美恵 東京理科大学, 生命科学研究所・生命工学技術部門, 助手
渡辺 守 慶応がんセンター, 診療部, 部長
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キーワード | NOD-SCID マウス / C型肝炎ウイルス / ヒトイト動物モデル |
研究概要 |
本年度はヒト肝組織をNOD-SCIDマウスに移植する条件を検討した。まずバイオプシーで得られた正常肝組織を、ヒト骨の移植部位と同じ皮下に移植したが、組織は定着しなかった。さらに皮下に移植したヒト骨髄内への移植も試みたが成功しなかった。ヒト肝組織の定着には十分な血流の補給が必須であろうと言う結論に達し、次に腎被膜下への移植を試みた。移植後、時間を追って肝組織を回収し、病理組織学的検索を行った。肝細胞は移植後、3週間正常に保たれていたが、その後時間と共に繊維化がおこり、6週間では肝細胞はみられなかった。この時期になると肝組織は、殆どが胆管組織によって占められるようになる。さらにHVC陽性の患者からの肝組織も移植した。HCV陽性の肝組織でも同様な結果が観察された。これらの実験には最低4人の異なったドナーからの組織を、ドナー一人当たり4-5匹のNOD-SCIDマウスに移植し検討を行った。我々の使用しているHCVコア-タンパクに特異的な抗体(2E5)は、血清のPCR検索でHCV陽性となった患者の肝生検に対して陽性になることを確認した。現在この抗体を用いて移植されたHCV陽性の肝組織を検討中である。さらにHCV陽性のドナーからの肝組織を移植されたマウスの血清中に、PCR法でHCVゲノムの検索を行った。3週間にわたってHCVゲノムが陽性となったが、HCV陽性の血清を腹腔に移植されたマウスでは1週間で陰性となった。さらに、この点を詳しく検討中である。現在まで、胆管組織は別として、ヒト肝組織がマウスに3週間以上に渡って定着したことを証明する報告はなされていない。我々の実験系はHCV感染のヒト化動物モデルとして発展が可能である。
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