研究概要 |
1. 末梢血リンパ球のサイトカイン産生パターンの解析 末梢血をPMAとionomycinで4時間刺激後のCD4陽性T細胞のサイトカイン産生を、IFNγ及びIL-4に対するモノクローナル抗体で染色してフローサイトメトリー法で検索した。脊髄炎患者(22例)では健常対照(36例)より有意にCD4陽性T細胞内IFNγ/IL4比が低く、アトピー性脊髄炎ではTh2優位な状態にあることが示された。 2. 末梢血リンパ球サブセットの解析 リンパ球表面抗原に対する各種モノクローナル抗体を用いて、フローサイトメトリー法により末梢血リンパ球サ ブセットを測定した。高IgE血症を伴う脊髄炎(10例)では、健常対照(20例)に比し、有意にCD8^+cell,CD3^+CD8^+cell,CD8^+CD45RA^+cell,CD8^+CD45RA^+cellの比率が高かった。しかし、CD4vCD45RA^+CCR5^+cell、CD4^+CD45RA^+CXCR4^+cellには有意な変動を認めなかった。したがって、リンパ球サブセットからは、アトピー脊髄炎はCD8陽性T細胞の増加が特徴と考えられた。今後さらにCD8陽性T細胞のサイトカイン産生パターンを検索し、Tc1,Tc2のいずれが優位か検索していく予定である。 3. ダニ粗抗原に対するリンパ球増殖応答の解析 アトピー性脊髄炎患者ではダニ粗抗原に対して有意なリンパ球増殖反応が認められた。ダニアレルゲンのアミノ酸配列の検討により、その一部がmyelinbasicproteinとhomologyがあることが判明した。今後さらに当該領域のペプチドを人工合成し、末梢血からこのペプチドに反応性のT細胞株を樹立していく予定である。 以上述べたごとく、この研究によりアトピー性脊髄炎はTh2優位、CD8陽性T細胞の増加など極めてユニークな免疫学的特徴を有することが明らかとなった。
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