研究概要 |
当初の予定にしたがって,GFP(Green Fluorescent Protein)の遺伝子を利用して生細胞中でのアクチン線維の動的挙動を観察する目的で研究を行い,以下の結果を得ている. 1. 内皮細胞内へのGFP遺伝子の導入条件を検討し,生細胞内での蛍光発現を確認することができた. 2. GFP-α-アクチニンベクターを作製し,内皮細胞内へ導入することにより,蛍光発現を確認した.この同一細胞を固定後,従来法であるローダミンファロイジンによる染色によって,アクチンフィラメントの染色と比較したところ,同一の形態パターンを示し,所期の目的が達成されていることが確認された. 3. 流れ負荷状態で生細胞内のα-アクチニンの挙動観察を行ったところ,細胞の形状変化に伴って細胞骨格が形を変えていることが観察できた.ただし,レーザ顕微鏡による観察ができなかったため,従来の蛍光顕微鏡にCCDカメラを取り付けたシステムを利用して観察した.その結果,十分な空間分解能が得られず,詳細な解析までには至らなかった. 4. 研究途中で,アクチンとGFPの遺伝子を融合したベクターを入手することができ,現在は主としてこのベクターを用いた研究に切り換えている.このベクターによるアクチンフィラメントの可視化においても,これまでのα-アクチニンを用いた結果と同様の結果を得ており,さらにレーザ顕微鏡のもとで明瞭な像が得られるように工夫を重ねている.
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