研究概要 |
本研究はアポB受容体の構造ならびに機能を分子生物学的に解析することを目的とする。現在このヒトのアポB受容体遺伝子をコードするcDNAをヒト単球由来cDNAライブラリーよりクローニングした。部分長cDNAを用い大腸菌蛋白発現系を用い、組み換えアポB受容体蛋白を作製した。これをウサギを用いて抗体を作製したところ10,000倍希釈でウエスタンブロッチングにてバンドが検出でき、非常に特異性の高い抗体を作製することができた。現在これを用いてヒト動脈硬化巣(冠動脈、腕頭動脈アテローマ)の泡沫細胞での発現を検討したが、本受容体が泡沫細胞ならびにマクロファージに特異的に強く発現していることが分かった。加えて他の部位(脾臓、胸腺、りんぱ節、骨髄など)での単球ならびにマクロファージでの発現を検討したところ強い発現を認めた。部分cDNA断片を用い大腸菌のシステムを用いて組み換えアポB蛋白を作製しウサギを用いポリクローナル抗体を作製したところ、本抗体は我々が精製した受容体を特異的に認識したため、我々が単離しつつあるcDNAはアポB受容体をコードするcDNAであることが分かった。 次にマウスcDNAを用い、クローニングを行ったところ、ヒトアポB受容体と非常に騒動性の高いクローンを単離した。更にゲノムDNAを用い、遺伝子構造を解析したところ、ヒト遺伝子とほぼ同様な構造をしていることがわかった。これらの結果は、進化上非常に保存されており、脂質代謝の重要な役割に関与していることを示唆するものと考える。
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