研究概要 |
高中性脂肪や食餌由来TGリッチリポ蛋白は心血管疾患の新しい危険要因である。本研究ではヒトマクロファージに発現する、apoB48を介する受容体の単離を行った。その結果、3744bpからなる全く新しい蛋白であることが明らかになった。この受容体はマクロファージや強制発現させたCHO細胞をin vitroで泡沫化させることが明らかになった。部分長cDNAを用い大腸菌蛋白発現系を用い、組み換えアポB受容体蛋白を作製した。これをウサギを用いて抗体を作製したところ10,000倍希釈でウエスタンブロッチングにてバンドが検出でき、非常に特異性の高い抗体を作製することができた。これを用いてヒト動脈硬化巣(冠動脈、腕頭動脈アテローマ)の泡沫細胞での発現を検討したが、本受容体が泡沫細胞ならびにマクロファージに特異的に強く発現していることが分かった。加えて他の部位(脾臓、胸腺、りんぱ節、骨髄など)での単球ならびにマクロファージでの発現を検討したところ強い発現を認めた。 次にマウスcDNAを用い、クローニングを行ったところ、ヒトアポB受容体と相同性の高いクローンを単離した。更にゲムノDNAを用い、遺伝子構造を解析したところ、ヒト遺伝子とほぼ同様な構造をしていることがわかった。これらの結果は、進化上非常に保存されており、脂質代謝の重要な役割に関与していることを示唆するものと考える。
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