1. リンパ球の表面マーカーの検討 HLA一致同胞間臍帯血移植(RCBT群)、HLA一致非血縁者間臍帯血移植(UCBT群)、HLA一致同胞間骨髄移植(BMT群)の3群で移植後の免疫能の回復に関し検討した。 症例はRCBT群が急性骨髄性白血病(M1)、先天性赤芽球癆、Fanconi貧血の骨髄異形成症候群への移行例、副腎白質ジストロフィーの4例。UCBT群は急性リンパ性白血病2例、家族性血球貧食性リンパ組織球症2例、若年性慢性骨髄性白血病1例、副腎白質ジストロフィー1例の計6例。BMT群は急性リンパ性白血病 8例、急性骨髄性白血病2例、慢性骨髄性白血病1例、骨髄異形成症候群1例、Wiskott-Aldrich症候群1例、先天代謝異常5例の計18例。 RCBT群とBMT群の比較では、総リンパ球数はRCBT群の方が移植後3か月までの回復が速やかで、その後はBMT群と同程度以上の回復を示した。表面マーカーに関しては、RCBT群のCD4陽性細胞はBMT群に比べ移植後3か月までの回復が早く、長期followしている2例は移植後1年の時点でもBMT群を大幅に上回り、CD19陽性細胞、CD5CD19陽性細胞の回復もBMT群に比べ速やかで、CD4陽性細胞、CD4CD45RA陽性細胞は移植後6か月まではBMT群と差は認めないが、移植後1年の時点ではBMT群を上回る回数を認めた。また、UCBT群の移植後の総リンパ球および各表面マーカー陽性細胞の回復はRCBT群と同程度であった。 2. リンパ球の増殖性反応 PHA、con-A、IL-2に対するリンパ球幼若化反応は、RCBT群とBMT群は同程度の回復を示しが、UCBT群では回復が遅延する傾向を示した。
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