研究課題/領域番号 |
10877129
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
稲垣 真澄 国立精神・神経センター, 精神保健研究所, 精神薄弱部診断研究室長 (70203198)
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研究分担者 |
菅澤 正 東京大学, 医学部耳鼻咽喉科, 講師 (00179110)
加我 牧子 国立精神, 神経センター・精神保健研究所, 精神薄弱部長 (20142250)
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キーワード | 遺伝性難聴 / G蛋白質結合型内向き整流性K^+チャネル / In situ hybridization法 / 内耳 / 海馬 |
研究概要 |
今年度は遺伝性難聴マウス(by)における聴見器および中枢神経系での神経伝達物質放出機構の解明のため以下の実験を行った。 対象はICRマウスの制須骨を生直後に摘出し実体顕微鏡下で蝸牛、前庭を分離し、各回転を分離後培養した蝸牛組織で生後5日目、7日目に4%PFAて固定した。脳は同日齢と2ヵ月時に4%PFAで還流固定しパラフィン切片作成後のものを用いた。今年度はイオンチャネル遺伝子に注目し、聴覚器特異的に発現するとされるG蛋白質結合型内向き整流性K^+チャネル(GIRK)mRNA発現をIn situ hybridization法により検討した。プローブ作成は以下の手順で行った。すなわち新生仔ICRマウス大脳あるいは心臓からトータルRNAを抽出後、GIRK遺伝子塩基配列からRT-PCRによって得た増幅産物(cDNA)プラスミド(pBluescript SK)に組み込みサブクローニングし、in Vitro transcriptionによってDIGラベルしたcRNAプローブを作成した。GIRK1は360bp、GIRK3は283bp、GIRK4は362bpのサイズであった。 内耳蝸牛ではGIRK1、GIRK3発現はラセン神経節に軽度観察され、コルチ器では見られなかった。一方、GIRK4は内有毛細胞領域に生後早期から発現が観察された。GIRK1、GIRK3中枢神経系で生後早期から多く発現していた。大脳皮質ではGIRK1発現が先行し、GIRK3が遅れた。海馬CA1〜CA3ではGIRK3の発現が強かった。成bvでは内耳に発現の違いは明瞭でなかったが、成コントロールと比べ大脳皮質ニューロンGIRK3発現が弱かった。 遺伝性難聴マウスのイオンチャネル遺伝子発現が大脳皮質において低下していることが示唆され本遺伝子が難聴での聴覚認知障害機構と関わる可能性があると思われる。
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