研究概要 |
1)高分解能MR顕微鏡を設計し作成。 最大磁場勾配23mT/m下におけるMR顕微鏡用のコイルを作成し、マトリックス256×256で20mm×20mmから10mm×10mmのピクセルサイズの画像を得ることができた。装置は医科学研究所附属病院放射線科が現有する米国GE社製Signa Horizon5.6version(1.5T)であった。 2)肺ファントムを作成。 高分解能MR顕微鏡の空間分解能を求めるために、肺のファントムを作成した。水と数種の濃度のアルブミン溶液(5,10,20,30g/dl)はヒトの肺の密度に近い0.3g/mlとなるよう海綿に吸収させた。3次元グラディエントエコー法を用いたMR画像上では、アルブミン水溶液に浸したファントム(海綿)ではアルブミン濃度が低いとき(5g/dl,10g/dl)には水との違いを分別することは困難であった。しかし、20、30g/dlのときには水との信号強度に差がみとめられ、ファントムとして用いることができた。 3)ラットに生理食塩水と、オレイン酸を注入し、肺浮腫を生じさせた。 4)種々の条件下で肺ファントムを用いてMR顕微鏡での最適な撮像方法及びパルスシークエンスを求めた。 5)上記最適条件下におけるラットの実験肺浮腫モデル及び実際の剖検肺を用いて撮像を行った。正常肺と線維化、肺浮腫、出血、腫瘍等の病変のある剖検肺にHeizman固定を行い、病変部を撮像し、光学顕微鏡下の所見と比較が行えた。今後はホルマリン固定を行った場合と行わない場合のMR所見の相違の検討及びMR所見と組織肺の水分量との相関関係を検討していく予定である。
|