手術的に採取した組織による病理診断を最終診断として、超音波誘導下で得られた吸引細胞を用いた悪性リンパ腫の細胞診による診断能と、遺伝子の再構成による診断能を比較検討を目的に研究を開始した。 現時点での対象悪性リンパ腫患者数が少ないため、研究課題である超音波誘導下針吸引細胞を用いた遺伝子解析が、従来の生検により得られた病理標本検体を用いた遺伝子解析と比較して、同等の診断能を有するものであるかを、統計学的に検討することが不可能である。悪性リンパ腫の病理分類として、本邦では従来から日本LSG分類とWorking Formulationが広く用いられていたが、1998年にRevised European American Lymphoma Classification(REAL分類)をさらに改訂した新WHO病理分類が提唱され、対象悪性リンパ腫の病理診断を、新WHO病理分類に基づいて再検討する必要があること。以上の2点から、現時点での少数例を用いた検討では、誤解を招く結論を導く恐れがある。 病理・遺伝子診断以外の悪性リンパ腫予後因子を、1984年から1993年までの10年間に、初回治療を行った限局性非ホジキンリンパ腫133例でRetrospectiveに検討した。予後因子としてInternational Prognostic Indexと同様に、年齢、病期、血清LDH値、Performance Statusが、またそれ以外に性別、病巣最大径、B症状の有無、初発部位などが指摘された。5年非再燃生存率は、全体で86%であり、StageIおよびstageIIで各々で90%、83%であった。これらの予後因子と病理診断と相関を、新WHO病理分類と遺伝子診断に基づいて検討中である。
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