研究概要 |
本研究では、生体の持つ形態がその機能により裏づけられていることから、コンピュータ内に生体の形を写し取るだけでなく、それがその生体と同じように機能し得る三次元構築法を作り出すことを行った。このために、生体内の細胞の集団が示すような挙動を持つコンピュータ内の細小単位(これをCellとする)を三次元的に積み上げることによって、これが生体反応を示すことができるようなシステムの製作を行った。 まず、用いる開発環境の構築を行った。ある程度の細胞の集まりをセルとしてモデル化し、生体構造の構築を行えるような環境を作成した。これにより、骨格筋を対象とし、筋線維が集合して骨格筋を形成する状況を再現した。この際、筋の種類によって筋線維の結合状況が異なる様子を再現できるようなモデルとし、紡錘筋,二頭筋,羽状筋等の筋肉構成を構築できるようにした。さらに、各筋モデルを構成するセルが収縮することにより、筋全体が収縮,弛緩する様子を再現できるようにした。さらにこれを用いて、上肢骨格モデルに主要な筋肉を付加させ、基本的な動作が筋モデルにより動作するかを確認した。 また、Cell自体の三次元構造ならびにこれが示す動的特性を正確に表示できる画像表示法を決定した。三次元構造を持つCellの内部の状態と運動に伴う動的特性を定量的に表現できる画像表示法を考案すると共に、四肢骨格筋群の四次元的解析のための筋線維方向の特定しやすい撮像法を決定し、筋動態の四次元情報の効率的な取得手法を考案した。
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