成人T細胞白血病(adult T cell leukemia:ATL)に対する免疫応答の標的抗原分子及びその支配遺伝子の同定を試みた。ATLの樹立細胞株ST1よりphage cDNA libraryを作製した。ATL患者血清を100倍に稀釈し、SEREX法によりmembrane3000個のプラークになる条件で、血清中IgG抗体により検出されるクローンを検索した。10個の陽性クローンが検出され、塩基配列の決定により7個は既知の3個はこれまでに未報告のcDNAであった。複数のATL患者血清とも反応するクローンの一つHUB1(HTLV-1 U5RE binding protein 1)につきglutathione S transferaseとの融合蛋白を作製し、thrombinの処理の後HUB1蛋白を調整した。ATL患者、無症候性HTLV-1感染者及び正常人血清中のHUB1に対する抗体の存否をwestern blot法で検討した。ATL患者血清では21/30、HTLV-1感染者血清では10/24、正常人血清中では19/24に抗体が検出された。このことよりHUBlに対する抗体の出現とATL発症との関係が示唆された。
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